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サンプルとして曲が使われているミュージシャンのアルバムを紹介します。(PART 20)

 前回、スティービー・ワンダーのアルバムTalking Bookに参加したジェフ・ベックを紹介しましたが、今回は、Innervisionsに収録されているVisionsという曲にエレクトリック・ギターで参加しているDavid T. Walkerのソロアルバムを取り上げます。そして、同じく、Visionsでアコースティック・ギターで参加しているDean ParksとDavid T. Walkerが一緒に参加しているアルバムを紹介します。
 最後に、パート20を書き終えたことを受け、簡単な感想文も載せました。

 スティービー・ワンダーのアルバムInnervisionsの2曲目に収録されているVisionsという曲で、デビッド・T. ウォーカーは、エレクトリック・ギターを弾いています。もう一人のギタリストDean Parksはアコースティック・ギターを弾いています。この2人のによるギターのアンサンブルとアップライトベースの演奏をバックにスティービー・ワンダーがリードボーカルを取り、エレキピアノも弾いています。
 この曲の演奏の中心は、間違いなくデビッド・T・ウォーカーのソウルギターと、ディーン・パークスのアルペジオを中心としたギターの演奏であり、それぞれが自分の持ち味を出した演奏とも言え、よく調和されていて、曲の雰囲気を作っています。名演と言っていいでしょう。

 簡単ではありますが、曲紹介が終わったところで、今度は、デビッド・T・ウォーカーのサンプルに使用されたことがある曲が収録されているアルバムを紹介します。

77. On Love(1976) – David T. Walker

 1976年にリリースされたアルバムで、全部で9曲収録されています。
 ジャケットが、少しエロい感じなのですが、あくまでも音楽作品なので、そのようなことを期待するようなものは全くありません。
 主な参加メンバーは、ベースは、Wilton felderとChuck Rainey 、ドラムスがEd GreeneとJames Gadson、ピアノは、Jerry PetersとJoe Sample、パーカッションはBobby Hall、リズムギターにRay Perker Jrなどです。
 サンプルで使用されたことがある曲は、1曲目のOn Loveと5曲目のWindows of the Worldで、どちらの曲もデビット・T・ウォーカーのギターの部分がよくサンプルリングに使われています。
 このアルバムの特徴の1つとしては、自身が所属していたラブ・アンリミテッド・オーケストラのインストのストリングスではなく、フィラデルフィア・ソウル風のストリングスをバックにデビッド・T・ウォーカーがギターを弾いているということです。デビッド・T・ウォーカーのギターは、ソウルフルなのですが、どこか繊細さも感じます。丁寧なソウルギターを聴かせています。

78. David T. Walker(1973) – David T. Walker

 デビッド・T・ウォーカーも参加していたMerry ClaytonのアルバムMerry Clayton(1971)と基本的な部分では同じ参加メンバーです。メリー・クレイトンもバック・コーラスで参加していて、その他には、ベースがウィントン・フェルダー、ドラムスがポール・ハンフリー、ピアノにビリー・プレストン、キーボードにジョー・サンプル、パーカッションにボビー・ホールも参加しています。
 ベースがウィントン・フェルダー、ドラムスがポール・ハンフリーなので、ノリがよく、このリズムセクションをバックに、デビッド・T・ウォーカーのギターも軽快な演奏になっています。
 サンプルで使用されたことがある曲は、1曲目のNever Can Say Goodbyeで、冒頭のウィントン・フェルダーのベースラインがサンプルに使われているようです。
 私としては、デビッド・T・ウォーカーを初めて聴くのにはこのアルバムがおすすめです。

 2つのアルバムを聴けばわかりますが、David T. Walkerのギタープレイは味のあるソウルギターで、正に、自分のスタイルを築き上げたギタープレイという言葉しか出ないです。独自のスタイルを築き上げたと言ってもいいと思います。

 次に、Dean Parksのソロアルバムの紹介しますと行きたいところですが、残念ながら、Dean Parksはソロアルバムを出していません。
 そこで、David T. WalkerとDean Parksが共演しているアルバムというか両方の名前がクレジットに載っているアルバムを紹介します。

79. Rhapsody In White(1974) – The Love Unlimited Orchestra

 Barry Whiteが編成したオーケストラのデビューアルバムです。
 バリー・ホワイト自身は、リードボーカルはとらず、ナレーションのみで、作曲や編曲、プロデュースが中心となっています。
 ストリングスの入ったソウルインストナンバーが中心です。ストリングスが入っているからと言って、ストリングスに押されてグルーブが弱くなることはなく、グルーブのあるインストアルバムに仕上がっています。
 このアルバムで、サンプルに使用されたことがある曲は、頻度が高い順に、8曲目のLove’s Theme、3曲目のMidnight And You、5曲目のBaby Bluesです。
 Love’s Themeは、出だしのストリングスの部分がよくサンプルに使われています。 
 Midnight And Youは、リフの部分を弾いているギターがよくサンプルに使用されています。
 Baby Bluesは、デビッド・T・ウォーカーのギターの部分がサンプリングに使われています。
 このアルバムでギターを担当しているのが、David T. Walker、Dean Parks、Don Peake(ジャクソン5のI Want You Backの出だしのリズムギターがよく知られています。)、Wah Wah Watsonで、この4人のギタリストを曲ごとに使い分けています。
 そして、このアルバムで一番重要なところは、やはりバリー・ホワイトのアレンジによるストリングスです。ストリングスの部分がサンプリングに使われるのは、グルーブを意識したストリングスのアレンジだからであり、このグルーブがあるから、Rhapsody In Whiteというアルバムは、ソウルインストの中では聴きやすいアルバムの1つなのだと思いました。
 

80. Bongo Rock (1973) – The Incredible Bongo Band

 タイトル通り、ボンゴなどのパーカッションの楽器をサウンドの中心にした、グルーブ感あるロックサウンドが特徴のアルバムです。
 サンプルに使用されたことがある曲は何曲かありますが、特によく使われているのが、2曲目のApacheという曲で、最初のパーカッションの部分を中心に数多くサンプリングされています。
 David T. WalkerとDean Parksが参加している曲は、8曲目のBongo Rock ’73の1曲だけで、この曲もボンゴが中心の曲になっています。
ギター的には、ロック風なサウンドからしてDean Parksのギターが目立っています。一方、David T. Walkerのギターは、要所要所で入っていて、特に最後のきめの部分でいいギターの音を出しています。

 デビッド・T・ウォーカーのギターは、自身もギターで参加しているジョー・サンプルのIn All My Wildest Dreamなど、ギタリストとしては、結構サンプルに使われています。それは、なぜかと考えたのですが、やはり、速弾きではなく、フレーズが中心のギタープレイだからではないかと私は思いました。もしかしたら、それが、今の時代のギターに求められているものなのかもしれません。

(補足)

 デビッド・T・ウォーカーは、1970年代、1980年代、そして、特に1990年以降は、活動の拠点の半分を日本に移したのではないかというくらい、今に至るまで多くの日本のミュージシャンやアーティスト、アイドルなどのアルバムでギターを弾いています。もし、デビッド・T・ウォーカーのギターに興味があれば、検索して調べてみてください。本当に、多くの日本の方と共演しています。
 ディーン・パークスも多くはありませんが、同じく日本のアーティストやミュージシャンのアルバムでギターを弾いていますので、こちらも興味がある方は検索して調べてください。

■20回書いて思ったこと


 サンプリングというのは、曲の1部分を引き抜いて、場合によっては加工などを施すものです。その引き抜く部分というのは、ヴォーカルの部分もありますが、多くは、ドラムスの部分だったりベースの部分だったり、キーボードの部分だったりなど、ミュージシャンの演奏部分が多いです。よく曲がサンプリングされると、その曲を作ったソングライターやアーティストが注目されますが、ミュージシャンに関しては、あまり注目されていないかもしれません。そのようなことから、私としては、サンプルに使われた曲がある場合、ミュージシャンにも、もう少しスポットライトが当たればいいのではと思いました。特に、アーティストやヴォーカリストののアルバムの場合は、よりそう思いました。
 私も、この企画を20回しましたが、やはり、ミュージシャンは、音楽制作を支えている土台なのではないかとあらためて思いました。特に1970年代は、ミュージシャンが最も活躍した時代だということもサンプルを通じて知ることができました。


 私のブログも、デビッド・ボウイあたりから脱線してアーティストやヴォーカリストが中心のアルバムを紹介していました。それもそれで、また、有意義なブログでした。ただ、ここで、もう1度、タイトルに表記されているように、ミュージシャンというところからアルバムを紹介できればと思います。

 ただ、そうはいっても、アーティストやヴォーカリストがあってのミュージシャンというのがあります。この辺が、難しいのも事実です。

(つづく)

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