サンプルとして曲が使われているミュージシャンのアルバムを紹介します。(PART 21) – Minnie Riperton Michael Sembell
今回は、スティービー・ワンダーのアルバムFulfillingness’ First Finale(1974)にバック・ヴォーカルで参加しているMinnie Ripertonのアルバムを紹介し、次にギターで参加しているMichael Sembelloのアルバムを紹介します。
最後に、Pedal Steel Guitarで参加しているSneaky Pete Kleinowの関連アルバムを簡単ではありますが紹介します。
スティービー・ワンダーのファースト・フィナーレでは、ミニー・リパートンがCreepin’という曲で、バックボーカルをしていて、聴き方によっては、スティービー・ワンダーとさびの部分だけデュエットしているようにも聴こえます。ゴージャスな雰囲気がするスローな曲です。
81. Perfect Angel(1974) – Minnie Riperton
1974年に発表されたミニー・リパートンのアルバムです。発売されたのがファースト・フィナーレとほぼ同じ時期です。ですので、ファースト・フィナーレに参加してたミュージシャンも結構このアルバムに参加しています。
スティービー・ワンダーが、プロデュースやソングライティング、さらには楽器の演奏などにも参加しています。
アルバムの内容としては、完全にソウルミュージックではなく、ソウル、R&Bはもちろん、ロック風な曲や、フォーク風な曲、カントリー風な曲など、いろいろあります。ミニー・リパートンのヴォーカルは、オーソドックスで、あまり小細工はなく、曲によって声をうまく使い分けています。
1曲目のReasonsは、ロックナンバーと言ってもおかしくない曲で、この曲でリードギターを弾いているMarlo Hendersonのエフェクトがかかった太い音のギターとスティービー・ワンダーの激しいドラムが特徴です。
2曲目のIt’s So Nice(To See Old Friends)は、カントリー風な曲で、ペダル・スティール・ギターを弾いているのは、Sneaky Pete Kleinowです。
3曲目のTake a Little Tripでは、マイケル・センベロがリードギターとして参加していて、オクターブ奏法の披露しています。この曲のイントロのオクターブ奏法の部分がサンプルとして使われています。聴いていて、何か、ファースト・フィナーレの1曲目に収録されているSmile Pleaseに雰囲気が似ていると思ったら、スティービー・ワンダーが作ったでした。
因みに、マイケル・センベロは4曲目のSeeing You This Wayというフォーク調の曲では、アコースティックギターを披露しています。器用なギタリストです。
5曲目のThe Edge of a Dreamは、ソウルバラード的な曲です。この曲でコンガをたたいているのは、ファースト・フィナーレの4曲目に収録されているBoogie On Reggae WomanでコンガをたたいているRocky Dzidzornuです。丁寧な演奏で、曲の雰囲気を作っています。
このRocky Dzidzounuという人は、The Rolling StonesのアルバムBeggars Banquet(1968)に収録されているSypathy for the Devilでコンガをたたいています。スティービー・ワンダーのミュージシャンの選択の良さを感じます。
6曲目のPerfect Angelは、スティービー・ワンダーの作った曲です。ファースト・フィナーレの1曲目のSmile Pleaseでベースを弾いていたReggie McBrideが、この曲でいいベースを弾いています。なお、Reggie McBrideは、アルバムPerfect Angelでは、Loving Youを除けば、すべての曲でベースを弾いています。
7曲目のEvery Time He Comes Aroundは、Marlo Hendersonのエフェクトが聴かせたリードギターが目立つソウル調の曲です。
この曲をよく聴くと、バックヴォーカルが何か叫んでいるかのような感じで声を出していて、これが結構インパクトがあります。
このバックヴォーカルを担当しているのが、ファースト・フィナーレでもバックコーラスで参加しているDeniece Williamです。後にソロに転向して多くのアルバムをリリースしています。
そして、このアルバムの中で、一番有名な曲は、8曲目のLoving Youというです。この曲は、アカペラに近いスローバラードで、アコースティック・ギターと、エレピだけをバックに、ミニー・リパートンが高音ヴォーカルを生かし、歌っています。このLoving Youは、サンプルによく使われていて、ラララララという部分がよく使われています。
このLoving Youから曲のつづきのように9曲目のOur Livesへの流れが、とても良いです。ここも聴きものです。
このPerfect Angelというアルバムは、結構スティービー・ワンダーのファースト・フィナーレと関連があります。
また、何回か聴くとさらに良さがわかるアルバムでもあります。それだけ、聴きどころがたくさんあるということです。
次に、紹介するマイケル・センベロは、スティービーワンダーのアルバム「ファースト・フィナーレ」の1曲目Smile Pleaseでオクターブ奏法を披露しています。さらに、次のアルバム「キー・オブ・ライフ」でも何曲かでギターを弾いています。特に、キー・オブ・ライフの4曲目に収録されているジェフ・ベックの影響から作られたと思われるインスト曲Contusionでは、歯切れのいいリード・ギターを弾いていて、5曲目のSir Dukeでもリード・ギターを弾いています。
以前、チャカ・カーンのアルバムで聴きごたえがあるリズムギターを弾いているといったことを書きましたが、マイケル・センベロというギタリストは、リードとリズム両方をそつなく弾くことができるギタリストであることは間違いありません。
そんな、マイケル・センベロのサンプルに使われたことがある曲が収録されているアルバムでは、Bossa Nova Hotel(1983)しかありません。
82. Bossa Nova Hotel (1983) – Michael Sembello
このアルバムでサンプルに使用されたことがある曲はManiacで、さびのヴォーカル部分がよくサンプルに使われます。残念ながら、サブスクでは、このマニアックという曲は収録されていません。サブスクで聴くとしたら、シングル曲から聴くことができます。ぜひ、そちらから聴いてください。
もし、どうしても、このアルバムを正式に聴きたいとなると、残念ながらCDを購入するしかありません。
アルバムの内容ですが、やや大人向けのアルバム(ジャンルでいうとAOR)で、マイケル・センベロのヴォーカルが中心となっています。
ギターに関しては、あまり演奏してなく、ギターとしては、Maniacのギターソロが1番の聴きものとなります。ギターソロに関しては、これと、1曲目のAutomatic Manのギターソロくらいしか目立ったギターソロはありません。また、リズムギターも地味で、シンセサイザーを多めに使ったサウンドになっています。
このアルバムは、ヴォーカル重視のサウンドでありますが、だからといって、曲自体は悪くはなく、よくできた大人のアルバムに仕上がっています。
(つづく)
Pick Up
スティービー・ワンダーのアルバム「ファースト・フィナーレ」の3曲目に収録されているToo Shy To Sayという曲があります。この曲では、Pedal Steel Guitarがフィーチャーされていて、演奏しているのは、Sneaky Pete Kleinowで、ペダル・スティール・ギターの名手でもあります。スティービー・ワンダーのピアノとSneaky Pete Kleinowのペダル・スティール・ギターのアンサンブルが素晴らしく、いいバラードに仕上がっています。
そこで、サンプルとは別に、Sneaky Pete Kleinowの参加アルバムを簡単に紹介します。
●The Shiloh Records Anthology(2008) – Sneaky Pete Kleinow
ベスト盤的なアルバムで、全曲インストです。特に、凝っているというわけではありませんが、ペダル・スティール・ギターの良さを知るには一番のアルバムです。
インストですので、気軽に、リラックスして聴くことができるアルバムでもあります。
このアルバムはサブスクでも聴けますので気軽に聴いてみてください。
●The Gilded Palace of Sin(1969) – Flying Burrito Brothers
Flying Burrito Brotherは、元バースのメンバーが中心となって結成されたバンドです。Sneaky Pete Kleinowもオリジナルメンバーの1人です。
このアルバムThe Gilded Palace of Sinは、バンドの1stアルバムであり、バンドの代表的なアルバムでもあります。
内容としては、カントリーロックのアルバムで、特に、前半はSneaky Pete Kleinowのペダル・スティール・ギターが効果的なカントリー風のサウンドとなっています。後半に関しては、オーソドックスなロックにも聴こえます。
Sneaky Pete Kleinowは、長年、Flying Burrito Brothersのメンバーだったこともあり、Flying Burrito Brothersの多くのアルバムで演奏を聴くことができます。興味がある方は、サブスクで聴いてみてください。
その他、有名なところとしては、上記で挙げたMinnie RipertonのアルバムPerfect Angel(1974)で1曲弾いていて、John LennonのアルバムMind Game(1973)では、何曲かペダル・スティール・ギターを演奏しています。
一方、分かりやすさというところでは、これも1曲だけですが、Fleetwood MacのアルバムHeros are Hard To Find(1974)に収録されているChristine McVieが作ったCome a Little Bit Closerというバラード調の曲で、曲全体でいいペダル・スティール・ギターを弾いています。Nick DeCaroのストリングスアレンジとマッチしていていい演奏です。
その他では、Joe Cockerや、Al kooper、Frank Zappa、Linda Ronstadtなどのアルバムでペダル・スティール・ギターを弾いています。
興味のある方は聴いてみてください。