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サンプルとして曲が使われているミュージシャンのアルバムを紹介します。(Part25)

 今まで、いろいろと取り上げましたが、このサンプルシリーズは、今回が最終回になります。
 今回は、最終回ということで、前回ウエス・モンゴメリーのアルバムでドラムスを担当していたジミー・コブも参加しているマイルス・デイヴィスを取り上げます。代表作であるKind Of Blueから紹介し、全部で5枚のアルバムを紹介します。

93. Kind Of Blue(1959) – Miles Davis

 マイルス・デイヴィスが1959年に発表した自身の代表的なアルバムです。
 このアルバムのすごいところは、1959年のリリースされて以降、21世紀になった今もなお売れ続けているところです。
 それだけ、完成度が高いアルバムです。
 収録曲は全部で5曲です。
 
 <参加メンバー>
 Miles Davis : トランペット
 John Coltrane : テナーサックス
 Julian “Cannonball” Adderley : アルトサックス
 Bill Evans : piano (Freddie Freeloader以外の曲)
 Wynton Kelly : piano (Freddie Freeloader1曲のみ)
 Paul Chambers : Bass
 Jimmy Cobb : Drums

 参加メンバーで、特に注目すべきは、やはりビル・エヴァンスとなります。
 多くのフレーズを弾いているわけではないのですが、音の空間みたいなものを大事にして演奏しているところが、アルバムの芸術性を高めている気がしました。
 サンプルに使用されたことがある3曲目のBlue In Greenは、マイルス・デイビスの静寂なトランペットソロやジョン・コルトレーンのサックスソロにビル・エヴァンズのピアノが静かに語り掛けるようにも聞こえました。
 同じ例えは、5曲目のFlamenco Sketchesにも言えます。
 1曲目のSo Whatは、おそらく、このアルバムでいちばん聴きやすい曲で、この曲もサンプルに使用されたことがある曲です。
 ビル・エヴァンスのピアノで始まり、ポール・チェンバースのベースとピアノのユニゾンになり、この曲のベースとなるベースのリフを経て、メインのイントロに入ります。(このポール・チェンバースのベースのリフは素晴らしいの一言です。)
 そして、マイルス・デイヴィスのトランペットソロ、ジョン・コルトレーンのサックスソロ、キャノンボール・アダレイのサックスソロ、ビル・エヴァンズのピアノソロと続き、ベースのリフで終わります。
 私は、このSo Whatに関していえば、各パートのソロ演奏と同じくらいに、ポール・チェンバースのベースのリフが入っています。このベースのリフこそ曲のタイトルでもあるSo Whatという雰囲気を出しているように聴こえます。
 なお、So Whatという言葉は、マイルス・デイヴィスがよく使う言葉のフレーズで、意味は「だから何だ」と言うそうです。
 Kind of Blueというアルバムは、ジャズの名盤ですので、おそらく、多くの方にブログなどでも取り上げられていると思いますので、これ以上書きません。こういったアルバムは、聴けば必ずいいアルバムだとわかりますので、まずはサブスクなどで聴いてみてください。
 


 

94. In s Silent Way(1969) – Miles Davis

 音楽的にも、アコースティック・ジャスからフュージョンが作られる間の中間点的な作品です。
おそらく、このアルバムを起点にして、Bitches Brewが作られたところもあると私は思いました。
聴いてみて、静かなジャズで、どこか環境音楽にも聴こえます。
 このアルバムから、本格的にエレクトリック・ギターを導入しています。
 収録曲は1曲目のShhh/Peacefulと2曲目のIn a Silent Way/It’s About That Time/In a Silent Wayの2曲しかありませんが、2曲とも15分以上の曲で、静かな感じがする曲です。
 1曲目のShhh/Peacefulは、イントロでギターソロを導入しています。このギターソロを弾いているのがJohn McLaughlinです。このギターソロ後で出てくるマイルス・デイヴィスのトランペットソロがメインです。静かなベースとドラムス、そしてキーボードの静かな音色がよりソロを印象的にしています。
 2曲目のIn a Silent Way/It’s About That Time/In a Silent Wayも1曲目と同じ内容の曲で、リズムセクションの演奏を地味にすることでソロやキーボードの音が印象的なものとなっています。
 このアルバムは、地味ながら聴きごたえがあるアルバムです。
 サンプルで使用されたことがある曲は、2曲目のIn a Silent Way/It’s About That Timeです。

95. Bitches Brew(1970) – Miles Davis

 このアルバムからフュージョンという音楽ジャンルが生まれたことから、歴史的なアルバムとも言えます。。
 収録曲は、全部で6曲。特に、1曲目のPharaoh’s Danceと2曲目のBitches Brewは、20分以上にも及ぶ演奏になっています。
 In a Silent Wayと違い、サックスやパーカッションなどの楽器も入り、それぞれの楽器がソロというより何か混ざり合っているように聴こえます。
 リズムセクションもツインドラムにして結構凝ったものとなっています。曲によっては、マイルス・デイヴィスのトランペットは、ジャズとは違い、ワウなどを使いロック風な演奏しています。これは、ジミ・ヘンドリクスの影響もあるのだと私は思いました。
 聴いていて、全曲、ジャムセッションのような部分もありますが、きちんとした曲の展開があるようにも聞こえます。
 もう、すでに多くの方に語りつがれているアルバムです。私が、いろいろというよりは、まずは、聴いてもらいたいです。おそらく、どうやってこういったものが作られたのかと思うはずです。ここがマイルス・デイヴィスのすごいところです。
 ミュージシャンの演奏能力の高さもすごいし、曲の構成もよくできています。聴き流すよりもじっくりと聴いてもらいたいアルバムです。でなければこのアルバムの良さはわからないと思います。まさに、フュージョンという音楽ジャンルがこのアルバムからできたとはっきり言えるアルバムです。
 サンプルで使用されたことがある曲は、2曲目のBitches Brewなどです。
 

96. Live-Evil(1971) – Miles Davis

 1971年にリリースされたアルバムです。
 Bitches Brewよりロック色が濃く、そして、よりはっきりとフュージョンの輪郭ができたアルバムです。
 アルバムの構成は、ライブ録音の曲とスタジオ録音の曲が半々です。
 スタジオ録音の曲のほうは、In a Silent WayとBitches Brewの2つのアルバムの曲を発展させた感じの曲で構成されています。
 このスタジオ録音のほうは、キーボードにハービー・ハンコック、チック・コリア、キース・ジャレット、ジョー・ザビヌルが参加しています。その他にエレキギターにジョン・マクラフリン、パーカッションにアイアート・モレイラ、ドラムスにジャック・ディソネットとビリー・コブハムなども参加しています。
 ライブ録音のほうは、1970年にアメリカのThe Cellar Doorというクラブで行われたライブ演奏を収録したものです。曲名で挙げると1曲目のSivad、4曲目のWhat I Say、8曲目のFunky Tonk、9曲目のInamorata and Narration by Conrad Robertsの4曲がライブ演奏です。
 ライブ演奏ということで、今でいうフュージョンに近い形になっています。ロックぽくもありファンクぽくもあるサウンドです。
 各楽器のソロパートもありますが、その中で特にいいなあと思ったのは、ドラムスのJack Dejohentteで、ドラムソロも含めて結構いい演奏をしています。
 キーボードがKeith Jarrettだけしかいないというのも貴重なセッションです。その他のメンバーは、サックス:Gary Bartz、ギター:John McLaughin、ベース:Michael Henderson、パーカッション:Airto Moreiraです。
 なお、このライブの完全版は、2005年にThe Cellar Door Sessions 1970としてリリースされています。サブスクでも聴くことができます。興味のある方はぜひ聴いてみてください。

97. On the Corner(1972) – Miles Davis

 1972年にリリースされたアルバム。
 サウンド的にBitches Brewとは違い、ファンク色が前面に出たアルバムです。
 ファンクと言っても、よく聴くとドラムとパーカッションが中心の音楽で、これをファンク風にしていると言ってもいいかもしれません。
 このアルバムを聴いてみて、単なるジャムセッションから生まれたもののように聴こえるかもしれませんが、きちっとした音楽理論をもとに作られています。聴けばわかりますが、おそらく、どの曲も、曲の拍子が4分の4ではないです。独特の拍子です。そのことから結構凝った作りであるのは確かです。
 収録曲は全部で4曲ですが、基本的に全曲同じ傾向の曲です。このアルバムもまずは聴いてみてくださいというのが正しい言葉だと思います。
 個人的に少し物足りないところは、マイルス・デイヴィスのトランペットがあまり目立っていないところです。ここでは、トランペットにワウをつなげて音を出しています。ただ、やはりこのアルバムはリズムが中心のサウンドです。トランペットが目立たないのは仕方がないところです。
 このアルバム自体は、よく考えて、よくできたアルバムで、ドラムとパーカッションが好きな人にはお勧めのアルバムです。
 なお、サンプルに使用されたことがある曲は、2曲目のBlack Satinです。
 
 
 

 以上で、このサンプルに使用されたことがある曲が収録されているアルバムを紹介するコーナーは、今回のPart25で終了です。
 グローヴァー・ワシントンJr.から始まりマイルス・デイヴィスで終わる。
 マイルス・デイヴィスが作った音楽のジャンル「フュージョン」は、ジャズに代わって70年代のインスト・ミュージックの代表的なジャンルになりました。
 本当は、いろいろなミュージシャンにつなげたいところですが、フュージョンという音楽はマイルス・デイヴィスあってのことです。
 当然、グローバー・ワシントン・ジュニアの音楽もマイルス・デイヴィスから由来した部分もあると思います。
 そういった背景から、私としては、1度、ここで終わりにするのが一番いいと判断しました。

 私自身、ヒップホップに関してはよくわかりませんが、サンプルとして使われている音楽に関しては、案外、しっかりと作られているアルバムが多いということがわかりました。音楽を知るには、こういった方法もいいかもしれません。私自身、いい勉強になった部分もありました。

 part1からpart25までブログを書いてきて、おそらく取り上げたミュージシャンの半数以上の方が残念ながら故人であります。
 いい音楽というものは、ミュージシャンがお亡くなりになっても、聴き続けられるものだということを改めて分かりました。
 今回で終わりということなので、故人のミュージシャンの方々に心から哀悼の意を表します。Rest in Peace

(終わり)

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ただの人間です。よろしくお願いいたします。