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サンプルとして曲が使われているミュージシャンのアルバムを紹介します。(Encore)

 【サンプルとして曲が使われているミュージシャンのアルバムを紹介します。】は終了しました。なぜ終わらせたかと言いますと、ただでさえ少ないページビューがさらに減ったためです。
 終了しましたが、回復傾向になれば、何らかの形で再開しようと思っていました。
 実際、ページビューも少し回復傾向になりましたので、アンコールとして続きをやることにしました。アンコールというものは、観客の声援があってのものです。ページビューを目安にするのが適切かどうかは、わかりませんが、参考になるのは確かなので、このような考えに至りました。
 そこで、このアンコール1では、サンプルシリーズの最終回との関連性から、現在、生存しているミュージシャンの中では、マイルス・デイビスと古くから数多く共演していたHerbie Hancockのアルバムを紹介します

 ハービー・ハンコックの曲は、たくさんサンプルに使用されていますので、その中から選ぶのが大変でしたが、数ある中から4枚のアルバムを紹介します。

1. Head Hunters (1973) – Herbie Hancock

 1973年にリリースされたハービー・ハンコックの代表作でもあるアルバムです。
 収録曲は全部で4曲で、収録時間は約40分です。
 サンプルとして使われたことがある曲は4曲全部です。
参加メンバーは、Herbie Hancockの他、サックス、フルート:Bennie Maupin、ベース:Paul Jackson、ドラムス:Harvey Mason、パーカッション:Bill Summersです。
 アルバムのサウンドは、ジャズファンクですが、リズムの使い方は、マイルス・デイビスのOn the Cornerの影響もあり。いろいろなリズムパターンを使っています。とはいっても、このHead Huntersというアルバムは、On the Cornerより分かりやすいサウンドに仕上がっています。このわかりやすさこそが、アルバムが大ヒットした要因だと思います。
 また、どの曲もベースラインがリフみたいで、もしかしたら、これがサウンドの基礎になっているかもしれません。


 1曲目のChameleonは、シンセベースのリフから始まり、エレクトリックベースのフレーズが入ってきます。かなり高音なのでギターの音ではないかと思いましたが、よく聴いた結果、一番高いフレットでベースを弾いているではと思います。この組み合わせは、当時では、すごい発想だと思います。展開面でも、このシンセベースのリフは、最初と最後で出てきますが、中間では、このリフはなく、違うリズムパターンをバックにハービー・ハンコックがエレピなどで、ソロを弾きまくっています。
 2曲目のWatermelon Manは、元々は、ハービー・ハンコックの1962年のアルバムTakin’ Offに収録されている曲ですが、ここでは、ファンク調にアレンジされています。
 アフリカンなパーカッションから曲が始まり、アフリカンなパーカッションで終わる曲です。
 演奏自体は、ソロなどはなく、バンドのアンサンブルが中心です。よって、ハービー・ハンコックのキーボードもリフが中心です。
 3曲目のSlyは、最初と最後がファンクぽいですが、中間は、Bennie Maupinのサックスソロがあり、その後にHerbie Hancockのエレピのソロが中心になります。この中間では、リズムセクションがいい演奏をしています。また、ハービー・ハンコックのクラビネットも曲を盛り上げています。
 この曲では、リズムセクションのリズムパターンをバックに演奏するサックスやエレピのソロを弾いていますが、この組み合わせこそがこのアルバムの特徴でもあります。
 4曲目のVein Melterは、スローテンポの曲です。ハービー・メイソンのドラムスのリズムパターンをバックに、サックスソロやキーボードのソロが入ります。幻想的ですが、どこかファンクな感じがする曲です。


2.Thrust(1974) – Herbie Hancock

 1974年にリリースされたアルバムで、収録曲は全部で4曲です。
 参加メンバーは、ドラムスがHarvey MasonからMike Clarkに変わった以外は、前作と同じミュージシャンです。
 サンプルに使われたことがある曲は、1曲目のPalm Greaseと3曲目のButterflyです。
 前作、Head Huntersが大ヒットした後のアルバムなので、サウンド的にはその延長線上にありますが、ファンク色が濃いサウンドになっています。とらえ方によっては、フュージョンそのものと言ってもいいかもしれません。
 このアルバムでは、ドラムスが、ハービー・メイソンからマイク・クラークに変わったことから、ドラムスは、リズムパターンより、ベースとのコンビネーションを重視した演奏になっています。その分、リズムに関してはBill Summersのパーカッションが補っています。
 サウンド面では、ハービー・ハンコックのクラビネットやエレピとベースとドラムスの即興的な演奏に、パーカッションとサックスが入ってくる感じです。当然、全体の演奏面でグルーブ感が増し、力強さを感じます。
 4曲ともスタジオライブに近い感覚があり、特に2曲目のActual Proofの演奏は、ほぼ即興演奏に近いもので素晴らしい演奏です。

3. Mr Hands(1980) – Herbie Hancock

 1980年にリリースされたアルバムです。
 このアルバムも、曲ごとにいろいろなミュージシャンを起用して、ファンク、ラテン、スムース・ジャス的なナンバーを演奏していますが、基本的には、ハービー・ハンコックが、それぞれの曲でいろいろな音色のキーボードをたくさん弾いているというのが最大の特徴だと思います。
 収録曲は全部で6曲。
 サンプルに使用されたことがある曲は、1曲目のSpiraling Prismと6曲目のTexturesです。
 1曲目から5曲目に関しては、1曲ごとにリズムセクションの組み合わせが違います。
 
 1曲目のSpiraling Prismは、ベース:Byron Miller ドラムス:Leon Chancler
 2曲目のCalypsoは、ベース:Ron Carter ドラムス:Tony Williams
 3曲目のJust Around the Cornerは、ベース:Freddie Washington ドラムス:Alphonse Monzon
 4曲目の4 A.Mは、ベース:Jaco Pastorius ドラムス:Harvey Mason
 5曲目のShiftless Shuffleは、ベース:Paul Jackson ドラムス:Harvey Mason
といった組み合わせです。
 (この中で補足しますと、ドラムスのLeon Chanclerは、マイケル・ジャクソンのアルバムThriller(1982)に収録されているBillie Jeanでドラムスを演奏していることが有名で、ベースのFreddie Washingtonは、Tik Tokでも使われたことがあるPatrice RushenのForget Me Notsという曲であのベースを弾いていることで知られています。なお、Forget Me Notsという曲は、Patrice RushenのアルバムStraight From the Heart(1982)に収録されています。)

 それぞれの曲で違うリズムセクションの演奏をバックに、ハービー・ハンコックのいろいろな音色のキーボード類を使い分けて演奏をしています。
 5曲目のShiftless Shuffleは、オリジナルのヘッドハンタースのメンバーによる演奏です。
 最後の6曲目のTexturesだけは、全部ハービー・ハンコックが、キーボードやシンセサイザー、パソコンなどで演奏をしています。
 私としては、ハービー・ハンコックの演奏スタイルを知るには、このアルバムがわかりやすいと思いました。

4. Empyrean Lsles(1964) – Herbie Hancock

 ハービー・ハンコックがジャズピアニストであった頃のアルバムです。
 参加メンバーは、Piano : Herbie Hancock、Cornet : Freddie Hubbard、Bass : Ron Carter、Drums : Tony Williamsです。
 内容としては、当時のモダンジャスで、4人の個性がよく出た演奏になっています。
 1曲目のOne Finger Snapは、ハードバップな曲で、曲が終わったかなあと思ったら、トニー・ウィリアムスのドラムソロというある意味面白い展開の曲です。
 2曲目のOliloqui Valleyは、ミドルテンポのモダンジャズ。ベースとピアノのリフが印象的な曲です。
 3曲目のCantaloupe Islandは、ハービー・ハンコックのピアノのリフがメインの曲と言ってもいいくらい、インパクトがあるピアノのリフを中心とした曲です。
 4曲目のThe Eggは、ハービー・ハンコックのソングライティングが生かされた展開の曲です。どこか、サイケデリックジャズにも通じるところがあり、聴きごたえがある曲です。中盤では、ロン・カーターの弓引きも披露しているベースソロなど、なかなかの聴きごたえがあります。このThe Eggに関しては、Head Huntersにも通じるものがあると私は思いました。
 サンプルとして使用されたことがある曲は、2曲目のOliloqui Valleyと3曲目のCantaloupe Islandです。
 アルバムの全4曲ともハービー・ハンコックの作った曲で、ハービー・ハンコックのソングライティングの特徴がよく出ています。
 聴けば聴くほど、良さがわかるアルバムでもあります。
 

 いろいろとハービー・ハンコックのアルバムを紹介してきましたが、いろいろとアルバムを聴いてみて、あらためて、ハービー・ハンコックは、鍵盤楽器の音色の使い分けがとてもうまいミュージシャンであり、優れたソングライターでもあることがわかりました。

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