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Post-Rockの原点的なアルバムとPost-Rock(Instrumental)のアルバムを紹介と、Post-Rockのジャンルなどについて

 今回はポストロックを取り上げます。
 まずは、ポストロックの原点的なアルバムを2枚紹介します。
 次に、ポストロックのインストアルバムを紹介するといった流れになります。
 昨今、ポストロックはいろいろな形態の音楽になっていて全体のイメージがつかみづらいところもあります。
 私も、このブログの記事を書くことで、ポストロックとはどういう音楽なのかが確認できればと思っています。

 (あくまでも私自身の考えや感想なので、世間とのずれはあります。)

  まずはじめに、ポストロックの原点的アルバムをSlintのSpiderlandとTalk TalkのLaughing Stockという2枚のアルバムを紹介します。
 この2つのアルバムは、ヴォーカル入りのアルバムですが、ポストロックとはどういうものかを知るには、いちばんいいアルバムです。

Slint

●Spiderland(1991)

 ポストロックの原点の意味合いもあるアルバムです。
 残念ながら、Slintは、このアルバムを最後に解散しました。
 アルバムの1曲、2曲目は、ドラムスの変拍子を利用し、何か、感情的な音で、ダークで静寂さと激しさを表現しています。
 普通のロックのドラムスは同じリズムを繰り返して1本調子に聴こえますが、このアルバムでは、ドラムスのリズムの取り方が単調ではなく、曲の展開によって違ったリズムの取り方をしてます。これが、ポストロックの1つの特徴でもあります。
 ギターのリフも、シンプルながらも、なにかアート的な音に聴こえました。
 このSpiderlandには、アウトテイク集があり、何曲かインストヴァージョンがあります。
 このインストの曲が、音の選び方や、感覚などが結構よかったです。
 インストヴァージョンを聴くことで、なぜ、ポストロックのインストバンドが結構あるのかがわかりました。
 Spiderlandもヴォーカルよりも、イントロや間奏の良さがよく出ています。

Talk Talk

●Laughing Stock(1991)

 このアルバムもポストロックの原点的なヴォーカル入りのアルバムです。
 内容としては、アートな内容で、サウンド的には、ドラムは割と普通にたたいているのですが、キーボード、ギターは、効果的な音を出すことで曲の雰囲気を出しています。何か、筆でキャンバスに色を付け加えているような演奏にも感じました。
 ギターの演奏に関しては、音色を重視した演奏で、どこかSlintのスパイダーランドと似ているところもあります。
 このアルバムも、ヴォーカルは入っていますが、イントロの部分を聴くと、インストだけでも十分に聴けるアルバムではないかと思いました。
 
 


SlintのSpiderland、Talk TalkのLaughing Stockを聴くことで、ポストロックの基礎的な音を把握できると思います。


 次は、ポストロックのアルバムを簡単に紹介します。
 実は、私は、ヴォーカル入りのポストロックよりもインストがメインのポストロックのほうに先に興味を持ちました。
 最近の音楽は全体的に歌詞がいまいちな気がして、インストの曲ををメインに聴いていることもあります。
 個人的な事情からですが、ポストロックのインストバンドのアルバムを紹介します。
 

Mogwai

●Young Team(1997)

Mogwaiのファーストアルバムです。
アルバムジャケットをみて、日本人なら驚く人もいるかもしれませんが、アルバムジャケットの真ん中に富士銀行の看板があるというのがまさに斬新です。因みに、この富士銀行は、今は合併してみずほ銀行になっています。
全体的なアルバムの内容は、ポストロックで、少しオルタナティブロックの影響もあるサウンドです。
基本的には、ギターが中心で、ピアノやキーボードなども曲によっては使われています。
ポストロックなのですが、ドラムスは結構たたいていて、ロック色が濃いポストロックのインストに仕上がっています。
10曲目のMogwai Fear Satanは、16分にも及ぶ曲で、いろいろな音色のギターによくたたくドラムスが絡むことで、聴きごたえのある曲に仕上がっています。

 いろいろとMogwaiのアルバムを聴きましたが、私が聴いた感想では、Mogwaiは、デビューから一貫して、ポストロックの基本的な枠組みをベースにしてアルバムを作ってきたように思いました。
 Mogwaiのアルバムは、サブスクでも聴けますので、興味がある方は聴いてみてください。

Tortoise

●TNT(1998)

 トータスの3枚目のアルバムです。
 ギターの部分は、ポストロックなのですが、音色重視のギター以外のところでは、シンセやパーカッション、ホーンなどいろいろな音をちりばめて、独自のサウンドを築き上げています。なので、曲によっては、アンビエントであったり、エレクトロニックであったりします。
 このTNTというアルバムは、ポストロックのスタイルを発展させた音楽だと私は思いました。

 トータスのアルバムをいろいろと聴いたのですが、トータスは、ポストロックの枠組みを何とかぎりぎり残しながらも、エレクトロニックやスタジオワークでの編集など、いろいろなものを音楽を取り入れているように思いました。そんなところから、オルタナティブな雰囲気を少ししかありませんが、割と凝ったポストロックを作っています。
 興味がある方は、サブスクで聴けますので、紹介したアルバム以外のアルバムも聴いてみるのもいいかもしれません。

 ポストロックのインストバンドは、他にもたくさんあります。
 私が聴いた限りでは、ポストロックというよりは、プログレッシブロック色が濃いインストのアルバムが多かったです。
 ポストロックのプログレッシブ系のインストのアルバムは、演奏は良く、完成度も高いのですが、どこか、形式的で一般的に感じました。
 そういったことから、ポストロックのプログレインストは、聴き流して聴くのが一番だと思いました。

 では、なぜプログレのインスト専門バンドがポストロック扱いになっているケースが多いのかを次の章で考えてみました。
 



 
 


ポストロックの「ポスト」とはどういうものか なぜプログレッシブロックのインストがポストロックなのか

 ところで、ポストロックの「ポスト」の意味はどういうものか。
 日本では、政治的な話になりますが、よくニュースで次の大臣候補のことをポスト○○さんと表現することがあります。
 私の考えでは、ポストロックのポストとは、「次の」ロック、「次の世代の」ロックはこういったものだという感じの意味ではないかと思いました。
 確かに1990年代初頭以前には、ないようなロックだと思います。
 ただ、ポストロックは、年数を重ねるごとに多様化したのも確かなことです。
 多様化したため、逆に以前あった音楽ジャンルに自然と近づいているのではと思うときもあります。
 ポストロックのプログレッシブロックのインストもそれだけ聴くと新しく感じるのですが、1970年代のプログレッシブロックを聴くとそれほど新しいものではないかもしれないとも思いました。
 ただ、やはり1970年代にはプログレッシブロックのインストバンドはあまりなかったかもしれません。
 そういう背景から、プログレッシブロックのインストバンドは、ポストロックに当てはまっているのかもしれません。
 

 「ポスト」という言葉が音楽ジャンルでは、ポストロック以前にも1970年代後半に「ポストパンク」という言葉がありました。
 このポストパンクという言葉も、先に出てきたパンクに対して、新たなサウンドアプローチをしているパンクバンドのことなどを指している言葉です。
 このポストパンクに関して調べてみるとイギリスを中心に結構いろいろなバンドが出てきていて、私の考えでは、ポストパンクは音楽のジャンルの1つであると言っていいと思います。
 これに対して、ポストロックは、音楽ジャンルとしては成り立っていますが、いかんせん、音楽の範囲が狭いため、他の音楽ジャンルと融合しているケースが多いです。
 そういったことから、聴き手としては、このアルバムのジャンルがポストロックと書かれていても、完全なポストロックではないこともあるということを理解することが重要です。それだけ、近年の音楽ジャンルは細分化されているのかもしれません。

 聴き手としては、1つのジャンルで1つの音楽の形態をイメージせず、1枚1枚のアルバムを聴いてそれがよいかどうかという聴き方をすることが大切です。音楽ジャンルの先入観はある程度捨てて、音楽を聴くことも大事だと思います。
 

(あくまでも私自身の考えや感想なので、世間とのずれはあります。)

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