Ronnie LawsとPleasureのアルバムの紹介(音楽のサンプルシリーズ感想戦)とNujabes
このブログで音楽のサンプルシリーズを26回分掲載しました。その中でも一番苦戦したのは、Part5です。
当初は、Ronnie Lawsのアルバムでしたが、感覚的にどこかしっくりこなかったので、直前でマイケル・フランクスのアルバムに変更しました。
その結果、残念ながら、ロニー・ロウズのアルバムは紹介できませんでした。
そこで、Part5とPart6の間に、ロニー・ロウズのアルバムとPleasureのアルバムを入れることで、Part5.5として書いてみました。
また、広告を挟んで、下段には、ロニー・ロウズのアルバムを調べていた過程で発見したNujabesというヒップホップのトラックメーカーのことも簡単ではありますが取り上げました。
Ronnie Laws
●Pressure Sensitive(1975) – Ronnie Laws
Ronnie Lawsのサックスと、Roland Bautistaのギターが中心のジャズファンク・フュージョンのアルバムです。
プロデューサーの1人に、Wayne Hendersonが参加していて、ミュージシャンとしてJoe SampleやWilton Felderなどが参加しています。
サンプルに使用されたことがある主な曲は、Always There, Tidal Wave, Tell me Something Goodなどです。
全体的には、前半は、軽快な曲が多く、後半は、ゆったりとした流れになっています。ただ、曲調に関わらず、ノリがいいのは確かです。
(主な曲の聴きどころ)
1曲目のAlways Thereは、ロニー・ロウズの代表曲で、ドライブ感があるサックスとクラビネットとリズムギターの演奏が軽快で勢いのある演奏です。
2曲目のMommaも、勢いのあるカッティングギターにヴォーカルやサックスが入っている曲です。
3曲目のNever Be the Sameは、スローテンポな曲で、多分エレクトリックピアノのソロはジョー・サンプルだと思います。
4曲目のTell Me Something Goodは、Rufusの1974年のヒット曲のカバー。Ronnie lawsのサックスとRoland Bautistaのリズムギターのコンビネーションがいいです。
6曲目のTidal Waveは、このアルバムの曲の中では一番サンプルに使われている曲で、どこか神秘的な曲です。ベースはWilton Felderです。
アルバムの音質が少し良くない気がしますので、できれば、いいイヤホンやヘッドホンで聴くことをお勧めします。それでも、それを演奏や曲の良さでカバーしているアルバムでもあります。
●Friend & Strangers(1977) – Ronnie Laws
Ronnie Lawsの3枚目のソロアルバムです。
このアルバムのプロデューサーはWayne Hendersonです。
ロニー・ロウズのサックスが中心の少し洗練されたジャズファンクなアルバムです。
シンセサイザーを使用し、ギターが少し控えめになり、ベースが前に出た感じのサウンドです。
ベースが前面に出たことで、1stみたいな軽快なサウンドは少なく、ジャズファンク寄りになっています。
サンプルに使用されたことがある曲は、3曲目のFriends and Strangersです。
このアルバムに参加している主なミュージシャンは、ギター;Melvin Robinson Roland Bautista、ピアノ:Bobby Lyle、シンセサイザー:Larry Dunn、ベース:Donnie Beck、Nathaniel Phillips(4曲目と6曲目)などです。
アルバム全体の曲で、ラリー・ダンのシンセサイザーが効果的に使われて、ボビー・ライルのピアノも、ソロもあり、いいアクセントになっています。
このアルバムは、ロニー・ロウズがリードボーカルを取った曲とか、女性バックボーカルをフィーチャした曲とかいろいろな曲がありますが、私が、印象に残っている曲は7曲目のSame Old Storyです。
シンプルな曲ですが、ドライブ感あるフュージョンサウンドには、ロニー・ロウズのサックスはピタリと合う気がします。Donnie Beckのベースもよいです。
Pleasure
●Dust Yourself Off(1975)/Accept No Substitutes(1976) – Pleasure
ジャズファンクバンドPleasureのデビューアルバムとセカンドアルバムの2枚セットです。
2作ともウエイン・ヘンダーソンのプロデュースしたアルバムです。
Pleasureは、ホーンセクションがあるファンクバンドで、ヴォーカル入りの曲だけでなく、インストの曲も演奏するバンドです。
デビュー作のDust Yourself Offは、ギターが結構フィーチャーされている濃いジャズファンクアルバムで、セカンドのAccept No Substitutesは、ギターが少し控えめになりベースが少し前に出たサウンドになっています。
このセカンドアルバムは、インスト曲がいい曲で、Ghettos Of The Mindはホーンセクションを中心とした曲、2 Foe 1はラテン風な曲です。
Pleasureでメンバーとして、ベースを弾いているのが、GEOのイヤホンの紹介ブログで取り上げたRichard ElliotのRock Steady(2009)でもベースを弾いているNathaniel Phillipsです。スラップ奏法より、ベースラインでの演奏のほうが特徴だと思います。
サンプルに使用されたことがある曲は、Bouncy LadyとLet’s Danceなどです。
●Joyous(1977) – Pleasure
ウエイン・ヘンダーソンがプロデュースしたサードアルバムです。前作と比べると少し洗練された感じもします。
メンバーの演奏もラフな感じではなく、しっかりとしたバランスの良い演奏で、いろいろなスタイルのジャズファンクに仕上がっています。
1曲目のJoyousは、サンプルによく使用されている曲です。
注目すべき曲は、5曲目のラテンナンバーSassafras Girlのホーンセクションの個々のソロ、6曲目のTune Inのベースソロと8曲目のSelimのサックスソロとドラムスの演奏で、なかなかの聴きごたえです。特に、Selimに関しては、ファンクではなくフュージョンと言っていいと思います。
Pleasureは、日本ではなじみのないバンドで、音楽自体も必ずしも日本人向けではないと思います。ですが、メンバーの個々の演奏技術は確かなものなので、楽器の演奏に興味がある方には、参考になるかもしれません。
Nujabes
Ronnie LawsのFriend & Strangersでベースを演奏しているDonnie Beckが気になって、他にどんなアーティストやミュージシャンのアルバムに参加しているのだろうかといろいろと調べてみました。
その結果、ジャズギタリストのCalvin KeysのFull Court Press(1985)(内容は、クラブミュージックを意識した感じのジャズギターのアルバム。私の考えでは、録音の際、あえて高音を抑え気味にしているようなので、この音質で好みが分かれるアルバムだと思います。)というアルバムにベース、シンセサイザーで参加していることがわかりました。
そこで、このアルバムからサンプルとして使用されたことがある曲はあるのかと調べてみたら、5曲目のTouchという曲で使用しているアーティストがいました。
それは誰かと調べてみたら、Nujabesという人でした。この方は、日本人で、lo-fi hip hopのゴッドファーザーと呼ばれている人です。
因みに、この曲をサンプリングしたnujabesの曲はVoice of Autumnという曲です。
それにしても、Nujabesは、よくCalvin Keysというマイナーなジャズギタリストの曲をサンプルに使ったなあと思いました。Nujabesは、レアグルーヴと言われているレアな音楽など含めて、いろいろな音楽を聴いていたんだと思うと、とても感慨深くなりました。当時は、サブスクでは音楽は聴けなかったので、いろいろなところから、たくさんのレコードを収集して、聴いていたことは、想像できます。
私は、ヒップホップには詳しくないので、Nujabesが現在、何をしているのかが、わかりませんでしたので調べてみたら、2010年に交通事故にお亡くなりになっていました。お恥ずかしいことですが、今更ながら、大変残念なことで、心よりお悔やみ申し上げます。
Nujabesが、世界的に人気となるきっかけとなったアルバムは、アニメ「サムライチャンプルー」のサウンドトラックです。
このサムライチャンプルーのサウンドトラックは4枚あり、Nujabesが参加しているのは、「departure」と「impression」の2枚です。
アニメ自体は、日本では人気がなく、地上波では途中で打ち切りとなりましたが、アメリカなど海外では好評で人気が出ました。
その海外での人気により、Nujabesが世界的に注目されるようになりました。
そして、Nujabesは、死後、海外でのlo-fi hip hopのブームにより、さらに評価され、生前以上の人気を得ました。
日本では、ヒップホップ自体がまだマイナーなジャンルのようで、一般的には、あまり人気がないようです。
私も、Nujabesの代表作でもあるアルバムModal Soul(2006)をサブスクで聴いてみました。
私の感想は、ヒップホップのビートとジャズやアンビエントなサウンドがバランスよく入っていて、ビートが中心のヒップホップの音とは少し違う感じの音楽でした。聴いていて、ヒップホップとアンビエントなどの音を両方聴いている感じがして不思議でした。
Nujabesが亡くなって15年が経ちますが、評価に関しては、音楽ジャンル内にとどまっている感じです。Nujabesが一般的にも評価されれば、J-POP寄りのヒップホップではなく、lo-fi hip hopも一般的に注目されるのではないかと素人の考えですが、そう思いました。
ただ、実際のところヒップホップと日本語の相性は良くないと思います。Nujabesの曲の中で、日本の女性ヴォーカリストを起用した曲が何曲かありますが、聴いていて、Nujabesバックトラックは、ヒップホップなのですが、女性ヴォーカルは、ほぼJ-POPといった感じでした。
日本語の発音と英語の発音の違いから来ると思うので、仕方がないところですが、こういったことが日本でのヒップホップ認知度が、一般的に、ややマイナーな理由になっているのかもしれません。一般的な評価をされづらいのもわかる気がします。
このようなことから、もし、初めてNujabesを聴くのなら、ラップ入りのものではなく、インスト曲を聴くのがおすすめです。そこから、ラップが入った曲を聴くのがいいです。
私は、少し変わったところからNujabesのことを知ったのですが、Nujabesの音楽に出会ってよかったです。