サンプルとして曲が使われているミュージシャンのアルバムを紹介します。(PART22)
今回は、前回のマイケル・センベロに続き、スティービーワンダーのアルバムSongs In the Key Of Lifeに参加しているミュージシャンのアルバムを紹介します。このアルバムには大物ミュージシャンを含め、多くのミュージシャンが参加しています。その中から、今回はSummer Softという曲で印象的なオルガンソロを弾いているRonnie Fosterのアルバムを2枚紹介します。
実は、ロニー・フォスターに関しては、Part2をオルガンジャスの特集にして、そのうちの1人として、取り上げようと思ったのですが、いろいろと考えた末、紹介しませんでしたが、今回、機会がありましたので、取り上げることにしました。
次に、ロニー・フォスターも参加しているJimmy Ponderのアルバムも取り上げます。Jimmy Ponderも、実はPart1からPart2あたりを書いているとき、いろいろと調べているうちに初めて名前を知ったギタリストです。あまり知られていないようなので参考に取り上げてみました。
83. Two Headed Freap (1972) – Ronnie Foster
1972にBlue Noteからリリースされたロニー・フォスターのデビューアルバムです。
収録曲は全部で8曲で、そのうちカバー曲はAl GreenのLet’ Stay TogetherとWilson PickettのDon’t Knock My Loveの2曲です。
Don’t Knock My Loveは、曲名は知らなくても、ザ・ドリフターズのファンなら、8時だョ!全員集合の早口言葉のもとになった曲と言えばわかると思います。
音楽的には、一般的なオルガンジャズをベースに、ジャズ、フュージョン的なアプローチで演奏しています。ソウルミュージックもカバーしていますが、こちらもソウルミュージックをフュージョン風にアレンジしたものとなっています。
サンプル使われたことがある曲は、サンプリングの定番的な曲でもある7曲目のMystic Brewです。
因みに、このMystic Brewという曲がサンプルに多く使われたことにより、ロニー・フォスターは2022年に久しぶりにソロアルバムをリリースすることで復活を果たしました。
Mystic Brewという曲は、イントロはウッドベースから始まり、その後ギターのリフが入ってきます。このウッドベースからギターが入ってくるところがよくサンプリングされています。
ウッドベースの演奏がサンプルに使われるというのが、ちょっと意外に思いました。単純ですが、私は、ヒップホップはエレクトリックが中心だと思ったからです。
サンプリングにされる楽器というのは、合えば何でもありということなのでしょう。
このアルバムは、単なるオルガンジャスでは飽き足らず、フュージョン的なオルガンジャズというものを聴きたい人にはお勧めです。
84. On The Avenue(1974) – Ronnie Foster
プロデューサーにジョージ・ベンソンを迎えて作られたアルバム。
収録曲は7曲で、そのうちヴォーカルがフィーチャーされている曲は2曲です。
デビュー作より、曲がメロディアスになり、ソウルインストにラテンフレバーを合わせた感じの明るいサウンドになっています。
サンプルに使用されたことがある曲は、2曲目のアルバムタイトルにもなっているOn The Avenueです。
このアルバムのポイントとしては、ジョージ・ベンソンをプロデューサーに迎えていること以外では、フィル・アップチャーチがギターとベースの両方で参加していることです。このアルバムでのフィル・アップチャーチのギターとベースは、適度にいいグルーブを出しています。
このアルバムには、1番の聴きどころでもあるスティービー・ワンダーのGolden Ladyのインストカバーが4曲目に収録されています。オリジナルより少しテンポを早くすることにより、ラテンテイストを生かした明るいインストナンバーに仕上がっています。
他では、6曲目のBig Farm Boy Goes to a Latin Cityもいい曲です。この曲は、最近、気のせいかもしれませんが、コンビニのBGMで聴いた気がします。ラテンテイストが心地いい曲です。
このアルバムでのロニー・フォスターの演奏に関しては、テクニカルなソロを交え、メロディアスなオルガン演奏で、なぜか夏を思い起こすようなオルガンの音色に聴こえます。そして、その音色こそ、このアルバムのカラーなのかもしれません。
次に紹介するアルバムは、スティービー・ワンダーとは関係ありませんが、もう1枚ロニー・フォスターが参加しているアルバムを紹介します。
85. Illusions(1976) – Jimmy Ponder
1976年にリリースされたジャズ系ギタリストであるJimmy Ponderのソロ2作目のアルバムです。このアルバムIllisionsには、ロニー・フォスターも4曲参加しています。
Jimmy Ponderは、ソロ以外では、Lou DonaldsonやJimmy McGriff、Jack McDuffのアルバムでギターを弾いていることがよく知られています。
残念ながら、このアルバムは、LPでしかリリースされていません。ですので、CD化もされていなく、ストリーミングもされていません。当然、サブスクリプションでも聴けません。このアルバムを聴くには、中古のレコードを購入するか、ユーチューブにアップされているものを聴くしかありません。
私は、気軽に聴くことのできるユーチューブで聴きました。こういうレアなアルバムをアップされている方がユーチューブには何人かいることはありがたいです。
完全には聴けませんでしたので詳しいことはわかりませんが、ジャズにファンキーな要素を交えたアルバムというのが聴いた感想です。思ったよりもいいアルバムだと思います。
サンプルに使用されたことがある曲は3曲目のJenniferです。
この曲は、スローテンポの曲で約9分と比較的長い曲で、Jimmy Ponderはオクターブ奏法を中心としたメロウな演奏をしています。
Jimmy Ponderは、一般的には、あまり知名度の高くないギタリストのようです。
それでも、長い期間、数多くのリーダーアルバムを出すことができたということは、ビジネス的にはわかりませんが、ミュージシャンとしては成功したと言ってもいいと私は思いました。
もしかしたら、Jimmy Ponderは、玄人受けするミュージシャンかもしれません。
その証拠にIllusionsというアルバムには、ロニー・フォスターの他に、ベースでRon Carter、ドラムスでGrady Tateなど実力派ミュージシャンも参加しています。
Jimmy PonderのIllusionsみたいにLPでしか出ていないアルバムは、レコードプレーヤーを買って聴くしかありません。こういったアルバムというのは案外多くあるのかもしれません。私としては、サンプルに取り上げられた曲が収録されているLPなら、せめてCD 化くらいはしてもいいのではと思います。少なくとも関心があるのなら、気軽に聴けるようにしてもらえたら、ありがたいです。
なお、Jimmy Ponderのアルバムは、1990年代後半からのアルバムならサブスクリプションで聴けますので、興味がある方は、ぜひ聴いてください。
(つづく)