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サンプルとして曲が使われているミュージシャンのアルバムを紹介します。(PART 17)

 今回は、前回、ロバー・パーマーとスティーブ・ウインウッドのアルバムに参加していたチャカ・カーンの関連アルバムを紹介します。
 まず、ルーファス在籍時のアルバムから2枚、そして、チャカ・カーンのソロアルバムから2枚紹介します。

66. Rag to Rufus(1974) – Rufus

聴いた感想としては、ファンクそのものなのですが、ギターが結構フィーチャーされているところが、一般的なファンクとは少し違うところです。
 アルバムの収録曲は全部で11曲です。
 サンプルとして使われたことがある曲は、1曲目のYou Got the Loveと、8曲目のTell Me Something Goodです。
 
 1曲目のYou Got the Loveは、ギターのカッティングから始まるファンクナンバーです。全体的にカッティングギターが中心で、中間から、ブルースフィーリングのあるギターソロが出てきて曲を盛り上げます。
 2曲目のI Got the Right Street(But the Wrong Direction)は、ホーンをフィーチャーしたR&B色が強い曲です。ここでも、ギターが結構フィーチャーされています。
 3曲目のWalking in the Sunは、Jeff Barryという方の1973年の曲のカバーです。チャカ・カーンの抑揚のあるヴォーカルが楽しめます。
 4曲目のRag to Rufusは、ホーンをフィーチャーしたインストナンバーで、メンバーの息の合った演奏が楽しめます。
 5曲目のSwing Down Chariotは、キーボードのRon Stockertもリードヴォーカルを取っていて、チャカ・カーンとツインリードヴォーカルの形になっています。
 6曲目のSidewaysは、ファンクなインストナンバー。
 7曲目のAin’t Nothin’ But a Maybeは、アッシュフォード&シンプソンが作った曲です。スローなソウルナンバーで、チャカ・カーンのファルセットのヴォーカルが印象的です。
 8曲目のTell Me Something Goodは、スティービー・ワンダーが作った曲で、スティービー風スローなファンクナンバーです。おそらく聴けば、そう思います。
 9曲目のLook Through My Eyesは、ソウルミュージックそのものな曲。
 10曲目のIn Love We Growは、ピアノの演奏をバックにチャカ・カーンが歌うバラード。
 11曲目のSmokin’ Roomは、アコースティック・ギターを生かしたミディアム・スローの曲です。
 以上、簡単に曲紹介をしました。
 このアルバムを最後にメンバー3人が脱退してしまいます。
 私の感想としては、Rag to Rufusはいいアルバムだと思います。チャカ・カーンだけでなく、バックのメンバーもいい演奏をしています。特に、ギターのAl Cinerが、サウンドの個性を出している気がしました。

67. Stompin at the Savoy – Live(1983) – Rufus and Chaka Khan

 ルーファスとチャカ・カーンの最後の共演アルバムであります。
 当時は、レコード2枚組で発売されていましたので、収録時間は1時間以上になります。
 このアルバムでは、プロデューサーにRuss Titelmanを起用しています。
 Russ Titelmanは、エリック・クラプトンのUnplugged(1992)やスティーブ・ウィンウッドのBack In the High Life(1986)、渋いところでは、Randy NewmanのSail Away(1972)をプロデュースした人物で、アーティストの良さを引き出すのがうまいプロデューサーです。
 収録曲は全17曲で、13曲がライブ録音で、4曲が、スタジオで録音された曲です。
 このライブでのルーファスのメンバーは、ギター:Tony Maiden、キーボード:Kevin Murphy、キーボード:David “Hawk” Wolinski、ドラムス:John Robinson、ベース:Bobby Watsonです。
 ライブのほうで注目したいのは、リズムギターにDavid Williamsが参加していることです。
この方は、マイケル・ジャクソンのアルバムOff the Wall(1979)Thriller(1982)そして、次で紹介するチャカ・カーンのアルバムWhat Cha’ Gonna Do For Me(1981)などでリズムギターを弾いている方で、ルーファスのギタリストであるTony Maidenとツインリズムギターの形でいい演奏になっています。
 アルバム全体としては、ライブだから盛り上がるというものではなく、チャカ・カーンのヴォーカルとルーファスの安定感ある演奏を楽しむものとなっています。

 スタジオ録音のほうで、注目する曲は、断然、Ain’t Nobodyです。
 この曲は、サンプルだけでなくカバーでもよく取り上げられていて、いまではルーファスの代表的な曲にもなっています。ルーファス・アンド・チャカ・カーンの最後を飾るのにふさわしい、少しロックな感じもするソウルナンバーです。聴けば聴くほど良さがわかります。
 そして、もう1曲注目すべきは、Don’t Go to Strangersという曲です。この曲は、ジャズ・シンガーのEtta Jonesのカバー曲で、ピアノにジョー・サンプルを迎えて録音されています。基本的にはオリジナルの曲を忠実カバーしています。カバーはもちろん、オリジナルもいいのでぜひ聴いてください。

 以上、チャカ・カーン在籍時のルーファスのアルバムを2枚紹介しました。
 次は、チャカ・カーンのソロアルバムを2枚紹介します。

68. What Cha’ Gonna Do For Me (1981) – Chaka Khan

 チャカ・カーンのソロ3枚目のアルバムです。
 収録曲は全部で11曲。
 私が聴いた感想ですが、サウンド的には、マイケル・ジャクソンのOff The Wall(1979)やルーサー・ヴァンドロスのNever Too Much(1981)などに通じるものがあり、ダンサブルで適度に洗練されたソウルサウンドです。
 サンプルに使用されたことがある曲は、Fate、What Cha’ Gonna Do for Me 、I Know You, I Live Youなどです。
 カバー曲も4曲あり、どれもいいカバーです。
 まず、2曲目のアルバムのタイトルにもなっているWhat Cha’ Gonna Do for Meは、Average White BandのアルバムShine(1980)に収録されている曲のカバーです。
 オリジナルは、プロデューサーにデビッド・フォスターを迎えている関係からストリングスを生かしたサウンドになっていますが、こちらのほうは、バンドサウンドのノリになっていて、程よいグルーブ感がある洒落たナンバーになっています。
 1曲目のWe Can Work It Outは、ビートルズのカバーで、オリジナルとは全然違っていて、ホーンをフィーチャしたソウルナンバーです。この曲でのマイケル・センベロのリズムギターは、聴きごたえがあります。
 4曲目のAny Old Sundayも実はカバー曲で、The McCrarysというグループの1980年の曲です。チャカ・カーンはどこからこんなマイナーなナンバーを見つけてくるのだろうか。チャカ・カーンの情報収集力には驚きです。曲自体は、ミディアムスローなソウルナンバーで、どこかゆったりとした曲でもあります。
 6曲目のAnd The Melody Still Lingers On(Night In Tunisia)もカバー曲で、トランぺッターのDizzy Gillespieの1940年代の曲にチャカ・カーンが詩をつけたものです。
 オリジナルはジャズですが、この曲は、当然ソウルナンバーに仕上がっています。特に、Herbie Hancockのキーボードソロと後半のDizzy Gillespieのトランペットソロは聴きものです。この曲を聴いたらDizzy Gillespieのほうも聴いてください。比較はできませんが、当然Dizzy Gillespieのトランペットがメインで、名演でもあります。

69. I Feel For You(1984) – Chaka Khan

 チャカ・カーンが1984年にリリースしたソロ6枚目のアルバムです。
 このアルバムでは、全体的に最新のシンセサイザーの音をふんだんに取り入れて、当時の最新のソウル、ファンク、ダンスナンバーを作っています。
 サンプルに使用されたことがある曲は、I feel For You、Through the Fire、Stronger Than Beforeなどです。
 このアルバムの中で、1番注目すべき曲はI Feel For Youです。
 この曲は、プリンスが1979年にリリースしたアルバムPirnceに収録されている曲のカバーです。
 オリジナルは、シンセサイザー系も使われていますが、プリンスにしてはソフトファンクな曲になっています。
 一方、チャカ・カーンのカバー曲のほうは、技術の進歩により、シンセサイザーなどの最新楽器をふんだんに使って、スケールの大きな曲に仕上がっています。それにしても、5年で、こんなにもシンセサイザーなどの楽器類が進化したのかと、楽器の進歩にも驚かされます。
 このI Feel For Youの冒頭で、ラップを披露しているのがGrandmaster Melle Melです。
 Grandmaster Melle Melは、ラップという音楽ができたころの代表的な人物の1人です。特に、聴いてほしいのは、Grandmaster Melle Melもメンバーであり、曲作りにも参加しているGrand Master Flash and the Furious FiveのThe Messageという曲です。この曲は、アメリカでの当時の社会問題をラップにしたものです。私も、対訳を読んだのですが、本当に当時の社会の状況をラップで表現した内容で興味深いものです。ラップはあまり詳しくはないのですが、もしかしたら、ラップとはこういうものなのかもしれません。
 それにしても、Grandmaster Mell Melを起用するという試みは、当時の音楽シーンを先取りする形です。チャカ・カーンは、いいアンテナをもっています。
 そして、このI Feel For Youでハーモニカを演奏しているのがStevie Wonderで、80年代風のシンセサイザーをメインにしたサウンドをバックにいいハーモニカソロを吹いています。
 次に注目すべき曲は、チャカ・カーンの曲の中でも代表的なバラードでもある8曲目のThrough the Fireです。
 この曲は、David Fosterがプロデュースを担当した曲で、ソングライティングにも参加しています。いかにもデビッド・フォスターらしいロマンティックなバラードです。
 その他では、Gary WrightのアルバムThe Dream Weaver(1975)に収録されている曲のカバーでもあるMy Love Is Aliveや、Michael Sembelloが曲作りやプロデュース、ギターソロでも参加しているEye to Eyeなどが注目される曲です。

 以上、チャカ・カーン関連のアルバム4枚を紹介しました。これ以外にも、紹介できませんでしたが、曲単位でいうと、ルーファスならSweet Thing、チャカ・カーンのソロならI’m Every Womanといった曲がよく知られています。サブスクでも聴くことができますので、そちらのほうも聴いてみてください。

(つづく)

 

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