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サンプルとして曲が使われているミュージシャンのアルバムを紹介します。(PART 18)

 今回は、スティービーワンダーのアルバムを4作を取り上げます。
 スティービー・ワンダーは、マルチプレイヤーなので、すべての楽器を自分で演奏しています。そして、曲によって、外部のミュージシャンを起用するという形をとっています。あくまでも、サウンドの中心にいるのはスティービー・ワンダーです。

70. Songs In The Key Of Life(1976) – Stevie Wonder

 スティービー・ワンダーの1976年にリリースされたアルバム。
 発売当初はLP2枚とEP1枚で発売されましたが、CDでは2枚組で発売されました。
 アルバムを聴いた感想は、とにかく、曲の完成度が高いことに驚かされました。
 アルバムの曲に関しては、一般的な曲から、ソウル、ファンク、R&B、フュージョンなど様々なスタイルの曲が収録されています。でも、そんなものは関係なく、どの曲もスティービー・ワンダーの曲というのが正しい解釈かもしれません。
 よく、これだけのソングライティングができたと思いますし、スティービー・ワンダー自身の演奏や、バックの演奏、アレンジなどすべていいです。
 すごいアルバムというのは、聴いていて何かすごさが伝わります。そして、聴いているうちに曲に吸い込まれる感じになりました。私は、日本人ですが、英語で歌っていて歌詞の意味も分からないのですが、何かを感じました。
 あらためて、曲に関しては、全曲いいので、理屈抜きで聴いてもらいたいアルバムです。
 最後に、サンプルに使用されたことがある曲は、Pastime Paradise、Love’s In Need Of Love Today、I Wish、As、Sir Duke、Isn’t She Lovely?、Knocks Me Off My Feet、Another Star、If It’s Magicなどたくさんの曲が使われています。

Songs In The Key Of Lifeは、スティービー・ワンダーのアルバムの中で、1番の代表アルバムです。

 次に、これまた、3部作ともいわれている完成度の高いアルバムを3作挙げます。簡潔にまとめましたが、これも理屈抜きで聴くことをお勧めします。
 なお、この三枚のアルバムも、半分以上の曲は、スティービー・ワンダーが全楽器を演奏して録音した曲が中心です。

71. Fulfillingness’ First Finale(1974) – Stevie Wonder

 このアルバムでは、ファンク調の曲は少なく、ソウルミュージックやR&B風の曲やボサノバやジャスなど幅広いジャンルの曲があり、バランスよく収録されています。楽器に関しては、クラビネットの使用は少なく、その代わりにシンセベースを前面に出した曲が数曲あります。また、パーカッションを結構、使っているのも特徴です。曲の完成度も高く、よくできたアルバムです。
 サンプルで使用されたことがある曲は、You Haven’t Done Nothin’、They won’t Go When I Go、Creepin’、Boogie on Reggae womanなどです。

72. Innervisions(1973) – Stevie Wonder

このアルバムは、ヘヴィーなソウルナンバーが中心でR&Bやバラードなどもあるアルバムです。前作Talking Bookではピアノの弾き語りのバラードがありましたが、このアルバムではなく、そのせいかバンドサウンドに近い仕上がりになっています。曲の完成度も高く、いいアルバムです。
 注目すべきところは、3曲目のLiving For The Cityと5曲目のHigher Groundで、聴いていて、スティービー・ワンダーが全楽器1人で演奏して作った曲だとはとても思えません。すごい完成度です。
 2曲目のVisionsは、外部のミュージシャンを招き録音したもので、次のアルバムにもつながるようなジャズエッセンスがある美しい曲です。
 サンプルに使用されたことがある曲は、Living For The City、Visions、Too High、All I Love Is Fair、Don’t You Worry ‘Bout a Thing、Golden Lady、Jesus Children Of Americaなどです。
 その他に、よくカバーされている曲として、Higher Groundがあります。

73. Talking Book(1972) – Stevie Wonder

このアルバムは、サウンド自体はファンクですが、スティービ-・ワンダーのヴォーカルが中心で、ピアノの弾き語りのバラードなどもあるアルバムです。このアルバムも完成度が高いアルバムとなっています。
 一番の目玉は、やはり、6曲目のSuperstitionです。この曲でのスティービー・ワンダーのクラビネットの演奏は名演です。また、この曲は、サンプルでもよく取り上げられ、また、カバーでもよく取り上げられています。
 この他に、サンプルで取り上げられたことがある曲は、Maybe Your Baby、You’ve Got It Bad Girlなどです。

 以上、スティービー・ワンダーのアルバム4枚を取り上げました。
 冒頭でも書きましたが、スティービー・ワンダーはマルチプレイヤーです。ですので、すべての楽器を演奏して曲を完成させることができます。
 4枚のアルバムとも、スティービ-・ワンダーはドラム、ピアノ、キーボード、シンセサイザー、ハーモニカを演奏しています。ベースはシンセベースを使っています。ギターに関しては、代わりにクラビネットを使って演奏をしています。
 この構成で、アルバムの約7割程度を、マルチレコーディングしています。
 それでも足りないところは、バックコーラスの声を人によって使い分けることや、ベースやギターに関しては、本物の音色が必要な時、ホーンやパーカッションが必要な時は、外部のミュージシャンを起用して録音しています。

 トーキング・ブックからファースト・フィナーレの3作を聴いて思ったことは、スティービー・ワンダーは、1人で多重録音で楽曲を作っているのに、アルバムごとに違うグルーブを作っていることです。トーキング・ブックのゆったりとしたソウルとR&Bの雰囲気もあるグルーブに対し、インナービジョンの少し粗削りなところがあるグルーブ、ファーストフィナーレのソウルミュージックに少しジャズのエッセンスが入ったグルーブとそれぞれ違うグルーブを作っています。1人の多重録音で違うグルーブを出すのは、なかなかできなのではないかと私は思いました。1人ですべてのことをやると、くせみたいなものがあり、ワンパターンに陥るのではと聴き手から見ると思ってしまいます。 
 それだけに、当時のスティービー・ワンダーは、すごかったと思わざるを得ません。

 また、外部ミュージシャンの使い分けもうまい気がします。
 とくに、キー・オブ・ライフでは、適材適所に使い分けて、良さを感じます。
 特に、キー・オブ・ライフに関しては、スティービー・ワンダーのプロデューサーとしての能力の良さがよく出ています。

 スティービー・ワンダーの曲は、聴く前に何か難しいところがあるのではないかと個人的には思いましたが、実際、聴いてみると割とすんなり聴けた気がします。
 聴いていて、どのアルバムも、はっきりとは、ジャンル分けができない気がします。それは、スティービー・ワンダーは、どのジャンルの音楽も自分なりに解釈して、自分のスタイルにしているからではないかと思いました。
 ですので、スティービー・ワンダーに関していえば、言葉より先にまず聴いてみることを優先したほうがいいのではと私は思いました。

(つづく)


 

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