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サンプルとして曲が使われているミュージシャンのアルバムを紹介します。(Part 7)

 前回、最後にFreddy Robinsonを取り上げましたが、Freddy Robinsonのソロアルバムとは別に、参加アルバムの中で代表的なアルバムを探していたら、Milt JacksonのMenphis Jacksonにたどり着きました。ということで、今回は、ヴィブラフォンが中心となります。展開的には、ミルト・ジャクソンからはじまり、ボビー・ハッチャーソンで終わるというブログになります。

24. Memphis Jackson(1970) – Milt Jackson with the Ray Brown Big Band

 ヴィブラフォン奏者のミルト・ジャクソンがレイ・ブラウンのビッグバンドをバックに従えたスタジオアルバムです。
 主な参加メンバーには、クルセイダーズのジョー・サンプルがエレクトリックピアノで、ウィントン・フェルダーがエレクトリックベース、ポール・ハンフリーがドラムスで参加しています。
 サンプルに使用されたことがある曲は、8曲目のEnchanted Ladyです。
 アルバムの全体的な特徴としては、レイ・ブラウンのビッグバンドをバックにミルト・ジャクソンがメロディアスなヴィブラフォンの演奏をしているということです。
 私としては、このアルバムのポイントとしては、ベースにあると思います。
 特に、ウィントン・フェルダーのエレクトリック・ベースがよく、もしかしたら、数あるウィントン・フェルダーのベース演奏の中でもベストかもしれないくらいいいベースを弾いています。このエレクトリック・ベースが曲全体のグルーブを作っているとも思います。
 もちろん、レイ・ブラウンのアコースティックベースもいいです。特に、9曲目のOne Mint Julep(The Other Way)では、全部がレイ・ブラウンのベースですので、良さがわかると思います。
 フレディー・ロビンソンのギターは、アルバム全体を通して歯切れのよいリズムギターを弾いています。
 このメンフィス・ジャクソンというアルバムは、ビッグバンドのサウンドにグルーブ感を乗せた作りになっていますので、聴きやすいアルバムだと私は思いました。

25. Sunflower(1973) – Milt Jackson

 このサンフラワーというアルバムは、上記のアルバム(メンフィス・ジャクソン)とは違い、オーケストラとの演奏が中心となっています。アルバムは全部で4曲収録されていますが、サンプルに使用された曲も全4曲です。
 主な参加ミュージシャンは、ミルト・ジャクソンの他に、ピアノ:Herbie Hancock、ベース:Ron Carter、ドラムス:Billy Cobham、トランペット、フリューゲルホーン:Freddie Hubbardで、これに、オーケストラなどが加わった構成になっています。
 Don Sebeskyの素晴らしいアレンジによるオーケストラの演奏が入っている曲は、1曲目のFor Someone I Love、2曲目のWhat Are You Doing The Test Of Your Life?、4曲目のSunflowerです。3曲目のPeople Make The World Go Roundだけは、オーケストラなしの演奏になっています。
 私が一番印象に残った曲は、1曲目のFor Someone I Love で、どこか幻想的な感じがします。フレディー・ハバートのホーンは曲のイメージ通りのソロで、ハービー・ハンコックのピアノソロもまたいい感じです。聴いていて面白いと思ったのはビリー・コブハムのドラムで、形式にとらわれない演奏をしていますが、曲全体を盛り上げていていい感じです。
 3曲目のPeople Make The World Go Roundは、スタイリスティックスのカバー曲で、アルバムThe Stylistics(1971)に収録されている曲です。(この曲の歌詞もなかなか興味深いものがあります)。この曲では、ジャズファンク的な演奏になっています。ベースのロン・カーターが、ソフトで、グルーブ感のあるベースを弾いていて、ゆったりとした曲になっています。
 このSunflowerというアルバムは、ミルト・ジャクソンのヴィブラフォンのソロだけではなく、フレディ・ハバードのホーンのソロや、ハービー・ハンコックのピアノのソロもいいものがあり、バランスが取れた内容になっています。
 なお、このサンフラワーというアルバムは、サブスクリプションに対応していませんので、CDなどを購入して聴いてください。

 ミルト・ジャクソンは、ほかにもMJQも含めて、たくさんのアルバムをリリースしていますので、興味がある方は、検索などして聴いてみてください。

 ミルト・ジャクソンの次は、ボビー・ハッチャーソンのアルバムを紹介します。

26. San Francisco(1971) – Bobby Hutcherson Featuring Harold Land

 ボビー・ハッチャーソンが、サックス、フルート奏者のハロルド・ランドとともに作ったアルバムです。
 収録曲は、全部で6曲で、ボビー・ハッチャーソンが作った曲が3曲、このアルバムにピアノで参加しているジョー・サンプルが作った曲が2曲、ハロルド・ランドが作った曲が1曲です。
 アルバムとしては、モダン・ジャズの形を残しつつも、1曲1曲がそれぞれ違うタイプの曲になっています。
 あくまでも、私自身の解釈ですが、1曲目がモード調のジャズ、2曲目がサイケデリック調のジャズ、3曲目は正統派モダンジャズ、4曲目がジャズファンク、5曲目が静かなジャズ、6曲目がラテン的なジャズといったところです。
 サンプルに使用されたことがある曲は、4曲目のUmmhという曲です。この曲では、ジョー・サンプルのクラビネットがギターのワウみたいに聴こえてインパクトがあります。
 このアルバムの中で、ボビー・ハッチャーソンのヴィブラフォンの演奏で印象的なのは、5曲目のProcessionです。この曲は、静寂感がある曲ですが、この曲で情熱的なソロを聴くことができます。
 ハロルド・ランドの演奏で印象に残った曲は、自作曲でもある6曲目のA Night in Barcelonaです。この曲はではハロルド・ランドのフルートの演奏が楽しめるだけでなく、ボビー・ハッチャーソン、ハロルド・ランド、ジョー・サンプルのソロも楽しめるものとなっています。
 サンフランシスコというアルバムは、モダンジャズから何かあたらしいことを試みようとした作品でもあります。

27. Patterns(1980) – Bobby Hutcherson

 もう1枚、ボビー・ハッチャーソンのアルバムを取り上げようと思い、どれにしようかと考えました。サンプルで使用された曲があるアルバムでは、Montara(1975)や、Linger Lane(1974)などがありますが、ボビー・ハッチャーソンのヴィブラフォンの演奏の良さがわかるアルバムをもう1枚と思い、このPatterns(1980)というアルバムを取り上げました。
このアルバムは、1968年に録音されたのですが、しばらくリリースされず、1980年になってようやくリリースされたアルバムです。
リリースが遅くなった理由は、ボビー・ハッチャーソンが書いた曲が1曲もなかったことからか、それともほかの理由のためなのかとういのは、私にはわかりません。
アルバムの内容としては、1950年後半から1960年前半あたりのハードバップ調のジャズのサウンドに近いです。ボビー・ハッチャーソンのヴィブラフォンのソロだけでなく、ピアノやサックス、フルート、ベースのソロもあり、まさに、正統派のジャズといったサウンドです。メンバーを見ると、ほとんどのミュージシャンがボビー・ハッチャーソンと一緒に演奏をしたことがある人で、そういった背景からか、ボビー・ハッチャーソンの演奏ものびのびしていると感じました。
 このアルバムでサンプルに使われたことがある曲は、6曲目のNocturnalというフルートが印象的な静かな曲です。

 ボビー・ハッチャーソンもたくさんのアルバムをリリースしていますので、興味がある方は検索などして聴いてください。

(つづく)

 
 
 

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